スーパーマーケットの台頭に対応して、青果物の取引は卸売市場におけるせる取引と平行して先取り、相対取引が活発化してきた。この取引様式の変化に対して産地サイドとして交渉面でいかに対応してきたのか。まず北海道の産地の販売戦略の交渉分析によって明らかにした。遠隔地主産地として急速に成長してきた、北海道の野菜産地を対象として、豊頃町のダイコン、芽室町のゴボウ、帯広川西のナガイモの販売戦略を実態調査によって分析を行った。その結果、産地が青果物を出荷する場合、産地が負担しなければならない交渉面での非効率を回避する(すなわち取引費用を節約する)と同時に、卸売会社、仲卸人、量販店などが負担しなければならない交渉面での非効率を、産地が協力して回避してやる(すなわち取引費用の節約に協力する)ことによって、販売戦略上優位な交渉力を実現してきたことがわかった。 さらに、先進国ドイツの青果物流通を取り上げ、独語史料の文献研究によってドイツでの青果物取引様式の変化と産地の対応を明らかにした。ドイツでは市場外流通が主流になってきており、取引様式も相対取引がほとんどであることがわかった。相対取引でも産地が流通業者に協力することによって取引費用を節約させ、交渉力を発揮するような戦略もとられている。わが国の青果物流通は市場取引が主流であるが、相対取引ではドイツと共通した戦略展開が見られる。
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