本研究では、クラスト形成のメカニズムに関する基礎的な研究を行なった。 国頭マージを供試土とし、土壌の団粒径と雨滴径の大小、土壌水分、石膏投与の有無を各々条件として、人工降雨実験を行い、クラスト形成の様子を観察した.形成したクラストについては、熱硬化樹脂で固めた後に、マルト-カッターMC100型をもちいて薄片を作成し、土壌構造の変化を観察した. 本研究によって得られた知見の主なものは以下のようになる。 1.雨滴径が団粒径よりも大きい場合には、スレ-キング現象が団粒の崩壊に寄与する.この傾向は、土壌の初期水分が小さい時に著しい.スレ-キングが寄与する場合は、降雨開始後速やかにクラストが形成する. 2.雨滴径が団粒径よりも小さい場合や土壌の初期含水量が大きい場合は、スレ-キングの寄与は小さく、代わりに雨滴の力学的な衝撃による変形・破壊が団粒の崩壊を支配する.この場合は、クラストの形成に長い時間を要する. 3.1.2.に述べた形成メカニズムの違いは、土壌薄片の観察から確認できる. 4.一般に、石膏の投与により土壌の分散は抑制されると考えられているが、国頭マージに対しては、石膏投与が逆の効果を示す.すなわち、国頭マージでは、石膏の投与により土壌の分散が促進され、クラストが形成し易くなる。 石膏の投与が国頭マージに及ぼす影響については、投与した石膏中のCa^<2+>イオンと国頭マージ中のAl^<3+>イオンの交換が原因の一つと推察されるが、化学的に精密な測定を行ない、メカニズムを特定することが必要なため、今後の課題とする.
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