研究概要 |
1.研究の目標 森林において降雨および気象要素の測定をおこない、降雨中の蒸発過程のメカニズムを明らかにすることを目標とした。 2.測定 1994年6月〜10月の期間,北海道大学苫小牧演習林の落葉広葉樹林において,雨量,降雨遮断量,熱収支法による蒸発量の連続測定をおこなった。また1994年8月上旬には,超音波風速計,高速AD変換器,計測量パソコンを用いて,乱流変動法によるフラックスの測定をおこなった。 3.結果と解析 樹冠が雨水で飽和すると考えられる総雨量20mm以上の降雨について,雨量と遮断雨量の測定から求めた降雨遮断率は6〜36%であり,降雨中の平均蒸発速度は平均0.4mm/hと算定された。ボ-エン比法およびPenman-Monteith法によって計算した蒸発速度は実測値を大きく下回り,降雨中の蒸発量推定に適用できないことが確認された。蒸発速度が降雨強度に強く依存することがわかった。湿球の不良のため,乱流変動法による降雨中の蒸発速度の測定値は使用できなかった。風速の変動測定には,晴天と雨天の差異は認められなかった。 4.今後の課題 降雨中に乱流変動法を適用する方法の開発,雨水の飛沫の輸送,樹木の吸水による液相での損失量の評価が今後の課題である。
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