研究概要 |
ミニブタから採取後、4℃で0,2,6,12,24,72時間貯蔵した胸最長筋の硬さとpHの測定から、死後2〜12時間が死後硬直期,その後の解硬期を経て、死後24時間以降が熟成期であると確認された。 一方、SEMによる筋肉内コラーゲン線維立体構造観察から、以下のような見解が得られた。すなわち、Ohtani et al.(1988)の報告した細胞消化法を用いると、筋線維が除去されることにより、筋肉内,特に筋線維に接した筋肉膜内側や筋周膜・筋内膜移行部のコラーゲン線維網が効果的に観察できた。死後硬直開始期(死後2時間)で、まず筋周膜・筋内膜移行部の構造が変化したが、筋周膜および筋内膜の構造的変化は認められなかった。硬直期では、筋内膜を構成するコラーゲン細線維ネットワークがかなり乱れ、コラーゲン細線維の癒着変性が進行した。また筋周膜・筋内膜移行部のコラーゲン線維同士の癒着も進行し、構造変化が大きくなった。一方筋周膜は、硬直期後半で全体構造にやや乱れが生じ、構成コラーゲン細線維の一部に癒着が認められた。解硬期以降、筋周膜・筋内膜移行部コラーゲン線維はほとんど消失し、筋内膜構成コラーゲン細線維ネットワークもかなり空疎になった。また同時に、筋周膜シートの崩壊が大きく進行し、特有の波うち構造の消失や構成コラーゲン細線維の消失によるシートの断片化が観察された。 これらのことから、筋肉内コラーゲン線維立体構造は死後硬直に伴って脆弱化することが示された。なおこの研究成果の一部を、1994年10月の日本畜産学会大会で発表した。
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