研究概要 |
LPS刺激した健常犬の膝窩リンパ節由来単核球から抽出したmRNAよりcDNAを合成した。このcDNAを鋳型として,ヒトIL-8 cDNAの塩基配列をもとに作製したプライマーを用いてPCRを行ない,イヌインターロイキン-8(IL-8)cDNAに由来し,全蛋白コード領域を含むと思われる,約400bpのバンドが増幅された。このバンドから得られたクローンの塩基配列より,このクローンはヒト,ウサギ,ブタのIL-8 cDNAとそれぞれ76.5,80.2,87.0%の相同性を示す101アミノ酸をコードすることがわかった。さらに,得られたクローンをpcDL-SRa296発現ベクターに組み込み,MDCK細胞およびCos7細胞に導入したところ,その培養上清には好中球走化性を誘導する活性がBoyden chamber変法を用いたchemotaxis assayにおいて認められ,本クローンが機能的タンパクをコードすることが示された。さらに,イヌIL-8 cDNAをpMAL-cRI大腸菌発現ベクターにサブクローニングし,大腸菌DH5a株に導入したところ,IPTGによりマルトース結合蛋白(MBP)とイヌIL-8との融合蛋白が産生され,本蛋白はマルトースカラムを用いたアフィニティクロマトグラフィーにより精製された。本融合蛋白をマウスに免疫したところ,抗イヌIL-8抗体価の上昇がグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)-イヌIL-8融合蛋白を抗原としたELISAにより認められた。現在,MBP-イヌIL-8融合蛋白で免疫したマウスを用いて単クローン抗体を作成中である。
|