研究課題/領域番号 |
06760266
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
寺岡 宏樹 酪農学園大学, 酪農学部, 講師 (50222146)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | イノシトール3燐酸 / カルシウムストア / カフェイン / クロム親和性細胞 / タプシガルギン |
研究概要 |
^<45>Ca^<2+>トレーサーを用いて、ウシ副腎髄質由来の各種膜分画のCa^<2+>取り込み活性を観察した。β-エシチン高透過性細胞とホモジネートは2相性のATP依存性取り込みと、ATP非依存性取り込みの3種類の活性を示した。細胞内小器官としてミトコンドリア、ミクロゾーム、分泌顆粒がCa^<2+>取り込みを起こした。肝細胞などでCa^<2+>取り込み活性が報告されている核分画は有為な反応を示さなかった。細胞内小器官のマーカーとCa^<2+>取り込み活性の関係より、細胞静止レベルであるpCa7では小胞体とマーカーであるNADPHcytochrome c reductaseが、興奮レベルであるpCa6.1ではミトコンドリアのマーカーであるCytochrome c oxidaseが高い相関を示した。またATP非存在下で有意なCa^<2+>取り込みを起こしたのは分泌顆粒だけであった。 Fura-2法を用いて、IP3およびカフェインによる各種膜分画のCa^<2+>放出活性を観察した。IP3は高透過性細胞およびホモジネートから濃度依存性(ED_<50>値 1.6-2.3x10^<-7>M)に一過性のCa^<2+>放出を起こした。IP3の作用は受容体との結合阻害薬であるヘパリンの存在により抑制された(IC_<50>値 2.2-3.3x10^<-5>M)。IP3はミクロゾーム分画から一過性のCa^<2+>放出を起こし、その濃度依存性およびヘパリン感受性とも高透過性細胞やホモジネートと類似していた。ミトコンドリアおよび分泌顆粒はIP3に対して全く反応しなかった。一方、カフェインは高透過性細胞、ホモジネートおよびミクロゾームから濃度依存性(ED_<50> 5mM)のCa^<2+>放出を起こしたが、ミトコンドリアや分泌顆粒には影響を与えなかった。IP3(2.5x10^<-6>M)の反復投与により反応が消失した後もカフェイン(10mM)はCa^<2+>放出を起こし、この逆も観察された。また、1μMタプシガルギン投与後もIP3およびカフェインの作用に殆ど影響を受けなかった。 IP3およびライアジン受容体に対する結合実験は現在進行中である。 以上の成績より、ウシ副腎髄質細胞におけるIP3およびカフェイン感受性のCa^<2+>ストアは小胞体であるが、両者は別々のコンパートメントに分かれているものと考えられる。この他、ミトコンドリアによる低親和性高容量のCa^<2+>取り込みと、分泌顆粒によるATP非依存性のCa^<2+>取り込みが存在するがそれらの存在意義については今後も検討が必要である。
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