研究課題/領域番号 |
06760279
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用獣医学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
廉澤 剛 東京大学, 農学部, 助手 (70214418)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 骨肉腫 / 分化誘導 / 活性型ビタミンD_3 / TGF-β_1 |
研究概要 |
近年、種々の生理活性物質や化学物質を用いて悪性腫瘍を分化させ、その増殖を低下・消失させることにより治癒をめざす分化誘導療法が注目されており、すでに一部の白血病で効果をあげている。本研究では、犬の自然発生骨肉腫由来で分化・表現形質の異なる4つの骨肉腫クローン細胞(骨芽細胞型、軟骨芽細胞型、線維芽細胞型及び充実性増殖型細胞型)について、活性型ビタミンD_3およびTGF-β_1の分化誘導療法の可能性を細胞増殖、ALP活性、コラーゲン量、オステオカルシン量および電顕による形態変化を指標として基礎的な検討を行い、以下の成績を得た。 1.細胞増殖はTGF-β_1処置した軟骨芽細胞型クローン細胞では差は認めれなかったが、それ以外の細胞では有意に抑制された。 2.活性型ビタミンD_3処置群では、ALP活性値は線維芽細胞型クローン細胞が有意な増加を示した。オステオカルシン産生量は、骨芽細胞型クローン細胞および充実性増殖型細胞型において増加を示した。培養液中の1型コラーゲン量は、骨芽細胞型クローン細胞以外の細胞は濃度依存性の増加を示した。 3.TGF-β_1処置群では、ALP活性値は軟骨芽細胞型クローン細胞が増加を示したのみであった。オステオカルシン産生量は、線維芽細胞型クローン細胞で有意な増加を示した。培養液中の1型コラーゲン量は、軟骨芽細胞型クローン細胞および充実性増殖型細胞型で増加を示した。 4.電顕による観察では、処置細胞はすべて活性化した像を呈し、細胞の変性や傷害などの所見は認められないことから、活性型ビタミンD_3とTGF-β_1は、細胞毒性薬とは異なる機序で腫瘍の増殖を抑制していると思われた。また、処置によりアポトーシスを示す細胞も認められ、分化誘導によりアポトーシスが誘導される可能性も示された。 今回の結果から、分化・性状の異なる骨肉腫クローン細胞は、活性型ビタミンD_3およびTGF-β_1によって骨細胞への分化が誘導され、増殖率も低下しており、骨肉腫においても分化誘導療法が可能であることが示唆された。
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