連続超薄切片法と包埋後免疫組織化学法を組み合わせて、ニワトリ脊髄膠様質のP物質免疫反応陽性終末を含むシナプス糸球体の構築を調べた。 3羽のニワトリ脊髄頸膨大部膠様質からP物質免疫反応陽性の中心終末を含む7個のシナプス糸球体の完全連続超薄切片を得た。それぞれの糸球体は1〜5個の中心終末と14〜80個の周囲の神経要素から構成されていた。これらのシナプス糸球体中で観察されたシナプスは以下のようなものであった。すなわち(1)中心終末がシナプス前要素として周囲のシナプス小胞を持たない樹状突起と形成する非対称性シナプス(2)中心終末がシナプス前要素として周囲のシナプス小胞を持つ神経要素と形成する非対称性シナプス(3)中心終末がシナプス後要素として周囲のシナプス小胞を持つ神経要素と形成する対称性シナプス(4)中心終末が周囲のシナプス小胞を持つ神経要素と形成する両方向性シナプス(5)周囲のシナプス小胞を持つ神経要素と樹状突起もしくは樹状突起棘とに形成される対称性シナプス(6)周囲のシナプス小胞を持つ神経要素どうしに形成される対称性シナプスであった。また、この研究により、サルやラットの膠様質で報告されているような、中心終末、周囲の樹状突起、シナプス小胞を持つ神経要素の三者の間の、三つ組みのシナプス配列が、ニワトリ脊髄膠様質のP物質免疫反応陽性終末を含むシナプス糸球体中に存在することが確認された。 今後の展望としては、連続超薄切片の写真を3次元的に再構築して、シナプス糸球体を構成する各要素の、相互関係(シナプス)の位置的な効果について調べ、さらに、糸球体を構成する各神経要素を特定するため、各種トレーサーを用い、起源となる神経細胞を調べていきたい。
|