研究概要 |
成体ラットをネンブタール麻酔(40mg/kg,i.p.)後、頚動脈小体、節状神経節、上頚神経節を摘出し、細胞分離のためにtrypsin(Sigma TypeIII)50,000U/ml、Collagenase 4mg/mlを含んだハンクス液に入れ、約20分間37℃で培養後、遠心し、次にCollagenase 4mg/mlを含んだハンクス液に入れ、約20分間37℃で培養後、遠心し細胞培養液(ダルベッコ変法イ-グル培地)を入れた小型容器(3ml)に入れた。細胞の分離をよくするために顕微鏡下でパスツールピペットを用いてゆっくりと細胞分離した。その後、CO_2インキュベータ-にて24時間保存し、培養した。その後ホールセルパッチクランプ法を用いてこの細胞の膜電流、静止膜電位、活動電位の閾値を記録した。 実験にあたって培養液とは異なる細胞内・外液を作製し、Na、K、Caそれぞれ単独の電流の記録を試みた。その結果Na電流の記録のためには、130mM NaCl、10mM MgCl_2、7.5mM TEA、5mM HEPES、10 mM glucoseを細胞外液に、ピペット内液には、130mM CsCl、20mM TEA、11mM EGTA、1mM CaCl_2、10mM HEPESを用い、Caチャネル、Kチャネルの活動を阻害した。K電流の記録には1μM TTX、15mM Co^<2+>を含む、modified Tyrode液、ピペット内液には、K-HEPESを含むKCl液を用いた。またCa電流記録には1μMTTX 2.5mM Ca^<2+>を含むTEA溶液を細胞外液に5mM、EGTA、10mM Cs-HEPESを含むCsCl液をピペット内液に用いることにした。節状神経節細胞の静止膜電位は平均-55.4±9.7mV(n=170)、活動電位の閾値は平均-40.5±13.8mV(n=59)であった。 本年度はラット(成体)節状神経節細胞の分離、培養の条件の決定、ならびにパッチクランプ法による各イオン電流の記録を確立した。
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