研究概要 |
1.EndothelinA,B(ETA,ETB)各受容体の安定発現細胞株を用いて、ETの細胞増殖刺激作用に必要な細胞内情報伝達機構の解析を行い、以下の知見を得た。 1)種々の線維芽細胞を親株として安定発現細胞株を作成し、ETに対する反応を検討したところ、ETが増殖刺激物質として働く場合とそうでない場合がある事がわかった。これらの細胞におけるETの細胞内情報伝達機構の比較、解析から、イノシトールりん脂質代謝に関与する酵素に対するETの刺激効果が、その細胞増殖刺激作用に必要である事が明らかになった。 2)ETA,ETB各受容体を発現したCHO細胞を用いて、ETの細胞増殖刺激作用のカイネテイクスを検討し、ETA,ETBを介する反応の差を明らかにした。この差の原因は、おそらく各受容体の脱感作機構の違いによるものと考えられた。 2.培養ヒト大動脈平滑筋細胞を用いて、ETの細胞増殖刺激作用に対する種々のサイトカインの影響を検討し、interleukin-1が特異的にETの効果を阻害する事を見いだした。この作用は、interleukin-1がプロスタノイド代謝に関与する酵素を誘導し、ETの細胞内情報伝達機構を変化させることによる。 3.ETA,ETBおよびキメラ受容体を発現したCHO細胞を用いて、ETによるadenylate cyclaseの活性調節を検討し、Gs,Gi各々のG蛋白質との共役に必要な受容体のサブドメインを明らかにした。
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