研究概要 |
1.好中球、単球におけるPGHS-2のin vitroでの誘導:雄性SD系ラット(9-10週令)未処置個体の末梢血単核球、未処置個体の胸腔洗浄液細胞、およびカラゲニン胸膜炎19時間胸水中の好中球と単核球を直径6cmのプラスティックシャーレ1枚当り2.5×10^7細胞/2ml培養液(RPMI-1640)で蒔いて、37℃で3時間培養し、PGHS-2を発現する条件を検討した。検討条件は、培養液中の血清(10%FCS,10%rat serum,血清なし)、シャーレ表面のコーティング(collagen,fibronectin,gellatin,なし)、及び炎症性メディエーター等(IL-1β,IL-8,MCP-1,LTB_4,C5a,bradykinin,PGI_2 derivative,TNFα,PMA,carrageenin etc.)の組合せである。結果を以下にまとめる。(1)シャーレ表面のコーティングはPGHS-2の発現に影響しない。(2)19時間胸水中の単核球は無血清培養で、PMA,carrageeninによりPGHS-2を強く発現した。(3)19時間胸水中の好中球でも無血清でPMA,carrageeninがPGHS-2を強く発現させた。(4)未処置個体の胸腔洗浄液細胞は10%FCS存在下でPMAによりPGHS-2の発現がみられた。他のメディエーターの効果は検討中である。(5)未処置個体の末梢血単核球は検討したあらゆる条件下でPGHS-2の発現が認められなかった。(6)検討した全ての細胞、条件でPGHS-1の発現はほぼ一定であった。 2.好中球、単球におけるPGHS-2のin vivoでの誘導:カラゲニン胸膜炎5時間胸水中の白血球でWestern blottingにより70kdのPGHS-1,PGHS-2を検出した。PGHS-1の発現量は起炎前から起炎後19時間までほぼ一定であったが、PGHS-2は起炎後3-7時間に最も強く発現し、これは胸水中のPG類の時間変化と一致した。Northern blottingの結果、5時間胸水中の白血球から2.9kbのPGHS-1 mRNAと4.9kbのPGHS-2 mRNAが検出された。なお、in situ hybridizationは再現性のある結果が得られず、組織の固定法、probeの洗浄法の改良が今後の課題として残った。
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