イノシトールリン脂質の加水分解反応が、細胞の情報伝達に果たす役割は、すでに確立されているが、細胞内では同時にコリンリン脂質(PC)も分解される。そこで、コリンリン脂質の加水分解反応が細胞内情報伝達に関与する可能性を検討した。その結果、ホスホリパーゼA2(PLA2)によって切り出される不飽和脂肪酸とリゾコリンリン脂質(リゾPC)の両者が共に、ジグリセリドと協調してプロテインキナーゼC(PKC)の活性を促進させ、細胞応答を増強させることが判明した。そこで、種々の不飽和脂肪酸を切り出すPLA2の受容体との共役機序について解析した。その結果、この種のPLA2はCa^<2+>非要求性であり、その活性調節にはチロジンのリン酸化反応、PKCによるセリン・トレオニンのリン酸化反応が関与していることが示唆された。この際、GTP-γSの作用もうけるため、G-蛋白質と共役した受容体からの調節の可能性も示唆される。現在、このCa^<2+>非要求性PLA2を種々の組織、細胞より精製し、その活性調製機構の解析を進めている。
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