研究概要 |
脂肪酸シクロオキシゲナーゼのアイソザイム(シクロオキシゲナーゼ-2、COX-2)のリコンビナント酵素を得るために、マウス骨芽細胞様株(MC3T3-E1)から逆転写PCR法でクローニングしたCOX-2のcDNAを用いて、組換えバキュロウイルスを構築した。この組換えウイルスを感染させた昆虫細胞Bombyx moriを破砕して、その高速遠心上清に比活性約50nmol/2min/mg蛋白のリコンビナントCOX-2を得た。また、COX-2に特異的なアミノ酸配列の合成ペプチドを抗原としてポリクローナル抗体を作製した。ウエスタンブロット法デ調べると、この抗体はヒツジとマウスのCOX-2と免疫反応性を示すが、ヒツジのCOX-1とは反応しないCOX-2に特異的な抗体であった。この抗体を用いて、昆虫細胞中で発現させた酵素がCOX-2であることが免疫反応性の点でも確かめられた。次に,リコンビナントCOX-2とヒツジのCOX-1を用いて7種類の非ステロイド系抗炎症剤を含む阻害剤の効果を検討した。2つの酵素に対するIC50を比較すると、ETYA、flurbiprofen、BW755C、NDGAは両酵素を同程度阻害し、indomethacinはCOX-1をほぼ特異的に阻害した。NS-398はCOX-2に特異的であったが、COX-2のペルオキシダーゼ活性は阻害せず、オキシゲナーゼ活性のみを阻害した。aspirinのCOX-1に対するIC50は560μMであったが、COX-2ではaspirinはシクロオキシゲナーゼ活性を15-リポキシゲナーゼ活性に変換させて、アラキドン酸からプロスタグランジンではなく主として15-ヒドロペルオキシ誘導体が生成した。
|