研究概要 |
透析アミロイドーシスの発症における細胞外マトリックスの役割、マトリックスを分解するマトリックスメタロプロテアーゼの役割を検討するため以下の研究を行った。 1.透析アミロイドーシス患者よりアミロイドを豊富に含む関節組織を採取し、プロテオグリカンを抽出、各種のプロテオグリカン糖鎖を定量した。結果、いずれの例においてもコンドロイチン硫酸が主体であり全体の50-80%を占めた。一部の例ではヘパラン硫酸も検出することができた。また同患者の関節組織から凍結切片を作成し、各種プロテオグリカンの免疫染色を行った。結果、いずれの例においてもアミロイド沈着に一致してコンドロイチン硫酸の陽性所見が認められた。滑膜表層部の沈着においてはヘパラン硫酸コア蛋白も陽性像を示した。 2.透析アミロイドーシス患者関節組織を用いてMMP-1,2,3,9,TIMP-1,2の発現を調べた。発現の強さは概してRAに比べては弱いものであったが、MMP-1は浸潤マクロファージ、2は線維芽細胞、3は滑膜表面、9、TIMP-1は小血管、TIMP-2は線維芽細胞に陽性像を認めた。発現の強さは全体の炎症反応の強さと比例していた。破壊性関節症、骨嚢胞例においては軟骨、骨の破壊と局所におけるMMP-1の産生に密接な関係が認められた。In vitroにおいてMMPはアミロイド物質の分解をすることはできなかった。MMP-1は浸潤マクロファージばかりでなくアミロイド結節内のマトリックス産生細胞にも陽性像を認めた。MMPは関節破壊性病変への関与ばかりでなく、アミロイド形成そのものに対しても関与が示唆された。
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