研究概要 |
1.性検病理材料中からの抗酸菌DNA抽出法の確立 喀痰や生病検理未固定材料からの効率的なDNA抽出法の確立を目的にSDS・プロテネイスK消化後フェノールを用いてDNAの抽出を行った結果PCRを行うのに十分な量および精製度のDNAが回収された。 2.DNA損傷が予想される病理材料からDNA抽出法の確立 結核が疑われるパラフィン切片を5ミクロンで5枚切り出し同上の方法でDNAを抽出し(ボルテックスは行わず)βグロブリンジーンをコントロールプライマーとしてPCRを行った。その結果標的DNAが長いほど増幅感度は落ちる傾向にあり,このことから標的遺伝子はパラフィン材料の場合短いほどよいことが判明した。 3.簡易的な菌種同定法の確立(PCR-RFLP) 既に更請者らはPCR-RFLP法による抗酸菌種の同定法を検討しているが,本年度は結核検診で得られた非定型抗酸菌約100検体に関しdnajプライマーおよびTB-1,2プライマーを用いてPCR-RFLP法で解析したがまだ確実な菌種同定には至ってはいない,これは地域差あるいは種間内変異が有る可能性が示唆される。現在さらに他の制限酵素を用いて増幅産物の切断パターンを検討している。また10株ではあるが養豚から得られた非定型抗酸菌を同様に解析した結果,そのパターンは人由来の鳥型結核菌と全く同様であった,検体数が少なく結論出来ることは出来ないがクロスインフェクションの可能性の示唆される。 4.これまでの解析等から各種病理材料中の抗酸菌のPCR法による検出は可能であり,今後は種特異的なプライマーの設計あるいはより簡便で確実なPCR-RFLP法を確立し抗酸菌種の同定が急務である。また非定型抗酸菌遺伝子検出と宿主の病態あるいは病原性との関連を解析する予定である。さらに結核の早期診断も本研究の結果より可能であるから現在結核患者末梢血単核球DNAからの結核菌遺伝子検出のため検体を収集中であり,あわせてHIV感染者の同様なサンプルを収集し抗酸菌症の早期診断法の可能性を検討する予定である。
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