研究概要 |
研究目的 SL/Kh系マウスは、共同研究者である日合がSL系マウスから分離した近交系マウスで、生後6ヶ月までにPre B lymphomaをほぼ100%に自然発症する。また前リンパ腫期の骨髄内ではリンパ腫と表現型の類似したPre B細胞のポリクローナルな増殖が見られ、B細胞系に先天的な異常があることを示している。本系のリンパ腫発症には内在性ウイルスの存在とその発現が重要であることがわかっているが、そのウイルス発癌の正確な機構はまだ明かになっていない。これまでに最も良く研究された自然発症リンパ腫のモデルはAKRマウスであるが、この系においても内在性ウイルスの関与が明らかになっているものの、リンパ腫発症に関与する宿主病型決定因子の同定はなされていない。 今回の研究は、(1)これに関与する内在性ウイルスの役割(2)その病型決定に預かる宿主要因の同定 を目的としている。さらに(2)については、その遺伝的変異の分子機構にまでせまり、ウイルス発癌以外の系やヒトのリンパ腫の感受性決定因子をも同定する。 結果および考察 今回の交配実験により次の事を明らかにした。 1 SL/Khマウスのリンパ腫発症には内在性ウイルスゲノムEmv-11(Akv-1)の存在とその発現が前提となる。 2 SL/KhマウスのH2にlinkした優性遺伝子Esl-1,染色体4番Mup-1 locus近傍に存在する劣性遺伝子foc-1によりそれぞれlymphoblastic lymphoma,follicular center cell lymphomaへの病型決定がなされる。 3 AKRマウス染色体7番IL4R 近傍に存在する優性遺伝子Tlsm-1によりT lymphoma susceptibilityは決定される。
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