研究概要 |
本研究は、新規LECT2b遺伝子の産物の分子的性状、及び生物学的活性の解明のために、recombinant LECT2bを大量に合成できる系を確立、rLECT2bタンパク質の活性の検討、モノ-クロナル抗体の作成を目的とした。はじめにrecombinant LECT2bの大量産生系を構築するために大腸菌を用いた。pMAL-cベクターを用いmaltose binding proteinとの融合蛋白質を合成することを計画した。本来このベクターには、連結部位にXa proteaseの認識部位が導入して有るが、LECT2b領域でXa proteaseによる非特異的分解が見られた。そこでこの連結部位にTEV proteaseの認識配列を導入したところ特異的切断できることがわかった。しかしながらproteaseによる特異的切断後maltose binding proteinとLECT2bの非共有的な結合がみられることが判明し大腸菌によるLECT2bの精製はできなかった。この融合タンパク質を用いモノクローナル抗体の作製を試みたが得られたハイブリドーマの全てがmaltose binding proteinを認識するものであった。さらに動物細胞での発現を試みた。pcDL-SRα296ベクターにLE CT2bのcDNAを導入後CHO細胞、L-929細胞にトランスフェクションし、スクリーニングした結果、2種類の高発現クローンC1D8-1(CHO cell derived),L2E4-1(L-929 cell derived)を得ることができた。それぞれ大量培養し精製分離後、N末端のアミノ酸配列を決定した結果LECT2bの期待される配列を持ち4 literの培養より約20mgのrLECT2bが得られることが判明した。これらのことによりrLECT2bはLECT2aと同様分泌性タンパク質であり、LECT2aに相同するN末端を持つことが分かった。このrLECT2bを用いヒト好中球に対する作用を調べた。その結果、それ単独では好中球機能を活性化する機能を有していなかったが、10^<-6> -10^<-8>の濃度でfMLPによる好中球の活性化を増強する事が判明した。
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