酵素免疫測定法にはプラジカンテル(PZQ)に対する、特異抗体が不可欠である。 PZQは低分子で、これを直接ウサギに免疫してもPZQに対する特異抗体は得られない。そこでPZQと牛血清アルブミン(BSA)との複合体作製が必要となる。しかし、PQZにはBSAと結合できる様な官能基はないことより、まずPZQの化学構造の修飾を行った。最初に、ジアゾ反応によりパラ-アミノ安息香酸との反応により、カルボキシル基の導入を試みたが、PZQの反応性が乏しくPZQとパラ-アミノ安息香酸との結合反応は起こらなかった。また、PZQのベンゼン環をニトロ化し、さらにニトロ基を還元してアミノ基に変え、BSAとの結合を試みたが、これではニトロ化は良好な結果が得られたが、還元してアミノ基にする段階でPZQは分解してしまった。さらに、PZQの化学構造のシクロヘキシールカルボニール基を加水分解ではずし、複合体作製に必要な官能基を持つシクロヘキシールカルボニール基を持つ化合物の合成を行い、BSAとの複合体を作製した。これをウサギに免疫し抗体を得た。また抗体の抗体価の検出するための固相抗原はPZQの化学構造の一部を化学的に修飾したものとポリ-L-リジンとの複合体を作製した。しかし、得られた抗体は酵素免疫測定法を開発するには十分な抗体価がなかった。その原因は、抗体作製に用いた抗原があまり良くなかったものと考えられる。現在、PZQに対する特異抗体を得る為にPZQとBSAとの新たな複合体の作製中である。
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