研究概要 |
申請時に提出した計画書の通りに実験を行ない、以下の結果を得たので報告する。 1.ウェルシュ菌染色体ライブラリーの作製 シャトルベクターpJIR418のHindIII切断部位へ、ウェルシュ菌strain13の染色体をHindIIIに部分分解した3-7kbの断片を挿入し、大腸菌へ形質転換して染色体ライブラリーを作製した。得られた大腸菌コロニーを集菌し、プラスミドDNAを大量調整して以下の実験に用いた。ライブラリーより96穴マイクロタイタ-プレートを用いてプラスミドを計1,200個調製し、フィルターメンブラン上へそれぞれをブロットして変性後、スクリーニングに用いた。 2.ウェルシュ菌virR遺伝子により転写レベルで調節される遺伝子群の同定 ウェルシュ菌strain 13とそのvirR遺伝子変異株TS133株より全RNAを調製し、それぞれをrandom primer、[α-^<32>P]dCTR、AMV reverse transcriptaseを用いてラベルした。前述のライブラリーをブロットしたフィルターに対してこれらのプローブをハイブリダイゼーションし、strain13とTS133のプローブでハイブリダイズした放射活性を比較し、明らかに活性の異なるクローンを選択した。計15個のクローンが選択され、そのうちstrain13の方が強いものが9個、TS133の方が強いものが6個であった。このことは、得られたクローンのうち9個がvirRによって正に調節され、残りの6個は負に調節される遺伝子を含んでいる可能性を示している。これらのクローンのプラスミドDNAを調べたところ、全て異なる長さのDNA断片を含んでおり、virRによって調節される複数の遺伝子群がクローニングされたと思われる。今後、これらのクローンについてさらなる解析を行っていきたい。
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