1.NAD分解酵素活性を検出する際に、従来のマイクロタイタ-プレート蛍光法を改良し、簡便に酵素活性を定量化できるように工夫して、大量の試料を取り扱えるようにした。 2.上記方法を用いて種々の細菌の培養上清および菌体抽出液をスクリーニングしたところ、ある種の細菌の培養上清はNAD分解酵素活性が非常に高いことがわかった。 3.この細菌の培養上清について、研究実施計画3)に記した方法でcADP-ribose合成活性を測定したところ、同活性を示すことが明らかになった。 4.この培養上清からcADP-ribose合成酵素の精製を行った。硫安塩析、およびゲルろ過、イオン交換、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーによって精製した。 5.精製した酵素を用いてさらに詳細な解析を行い、本酵素がcADP-ribose合成活性のみならずcADP-ribose分解活性をも有していることを明らかにした。 6.本酵素について、反応速度と時間の関係、至適pHおよび金属イオンの酵素活性に与える影響について検討した。 以上の結果から、真核生物のみならず原核生物でも、cADP-ribose合成・分解酵素活性を有する蛋白を産生することを明らかにした(論文投稿中)。今後は、分子量・等電点・アミノ酸解析・Km・Vmax等の検討によって同酵素の酵素学的性状を明らかにすることを中心に研究を進める予定である。
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