研究概要 |
単純ヘルペスウイルスUL41遺伝子産物はウイルス粒子のテグメントに存在する燐酸化タンパク質である。このタンパク質はウイルスが宿主細胞に感染後、mRNAの寿命を縮め宿主細胞の蛋白合成を抑制する,いわゆるシャット・オフ機能を担っていることが報告されている。しかし、このタンパク質がどの様にその機能を発現するのかその詳細は全く明らかにされていない。そこでUL41の作用を明らかにし、細胞のトランスクリプション後の蛋白合成調節機構を明らかにすることを目的にこの研究を開始した。 まずPCRを用い、単純ヘルペスウイルス1型、2型のUL41遺伝子をクロニングした。この遺伝子産物を解析する目的で、バキュロウイルスの発現系の確立を試みている。即ち、UL41遺伝子をpBacPAK9ベクターにリクローニングし、Sf9細胞にバキュロウイルスDNAとコトランスフェクションした。現在、そこから得られたウイルスより、効率よくUL41を発現するウイルスのクローニングを行っている。 またUL41が細胞の蛋白と相互作用して蛋白合成の抑制をしていることが予想されるので、酵母を用いたTwo-hybride systemで細胞側の蛋白を同定する試みを現在進めている。 残念ながら今年度は結果を得るに至らなかったが、2つのアッセイシステムを開発することが出来たので、来年度研究の発展が期待される。
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