研究概要 |
1.ヌクレオバインディン(以下Nuc)遺伝子をジーンターゲティング法により欠損させたマウスは、見かけ上全く正常であった。そこで各種臓器の切片をとり、解剖学的な変化がないかどうかをしらべたが、やはり大きな変化を見つけだすことはできなかった。 2.現在のNuc欠損マウスは、C57BL/6マウスと129マウスをバックグラウンドとしているため、他のマウスと掛け合わせることにより何らかの表現型の変化が起きることが考えられた。そこでまずNucの過剰発現が見られ、もともとNucの発見のもとになったMRL/lprマウスと掛け合わせることにした。すなわちNuc-/-,lpr/lprの遺伝子型をもつマウスを取得しようとした。手持ちのNuc欠損マウスとMRL/lprマウスとを掛け合わせそのF1同士の掛け合わせより得たF2の中からサザンハイブリダイゼーションによりNuc-/-,lpr/lprマウスを選択した。 3.そのマウスを生後より観察したところ、MRL/lprマウスと比較してリンパ節の腫脹が時期的に早くから、しかも脹れ方が大きくなることがわかった。そこでそれらのマウスよりリンパ節を摘出し、T細胞のマーカーについて調べてみた。T4およびT8について見てみるとMRL/lprマウスに比較して、T4+,T8-の細胞比率が大きく高まっていることがわかった。この現象が掛け合わせによるバックグラウンドの違いによる可能性もあることから、現在それらをMRL/lprマウスと戻し交配し、それでもその現象が再現され、かつNuc-/-に基ずくものかを確かめようとしている。
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