研究概要 |
胸腺上皮細胞表面に発現されているT細胞分化に必要な45k蛋白質(HS9)の分子生物学的性格付けを試みた。前年度までの研究でHS9に対する抗体はin vitroでのCD4^-CD8^-からCD4^+CD8^+のT細胞分化を阻害することが明らかになっていた。本年度はexpression cloningの方法でHS9のcDNAを単離し全塩基配列を決定することに成功した(第24回日本免疫学会)。このcDNA(N14)を各種発現vectorに組み込み未発現細胞にtransfectするとHS9抗体と反応するようになった。N14は未報告のものであり既知のfamilyには属さないことが明らかになった。しかし、線虫(C.elegance)の機能不明のtag sequenceと相同性があることがhomology searchで判明した。研究計画どおりに組織、細胞での遺伝子発現をin situ hybridization,RNase protection assay,Northern blottingで検討した。抗体を用いて組織化学で得られた結果に一致したdataが得られた。即ち、HS9は肝細胞、脳神経細胞、腎臓尿細管細胞、B細胞、そして胸腺上皮細胞に発現されていた。現在N14 transfectant細胞を用いて未熟T細胞との相互作用が誘導できるか検討している。その他、当初計画どおりにmouse genomic DNAと人cDNAの単離に成功し、塩基配列の解読を急いでいる。
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