研究概要 |
体重の割に体脂肪率が大きい状態を「隠れ肥満」として、以下のような分析結果を得た。 1.大学生男女を対象に、BMIを独立変数、水中体重秤量法で測定した体脂肪率を従属変数として、回帰分析を行い、その残差を「隠れ肥満」の指標とした。すなわち、残差が正の方向に大きいと「隠れ肥満」型であることを示す。一方、Suzuki et al.(Am.J.Med.,1993)の方法で、内蔵脂肪量の指標である腹膜前脂肪厚と腹部皮下脂肪厚を、B-mode式超音波診断装置で測定した。そして、先に述べた残差と腹部脂肪の分布との関係をみると、男子では、残差が大きいほど、皮下脂肪厚に比して腹膜前脂肪厚が大きくなるという傾向が、弱いながらもみられた。よって、「隠れ肥満」傾向と内蔵脂肪の蓄積に弱い関連があるのではないかと示唆された。しかし、女子ではそのような傾向はみられなかった。 2.先に示した残差は、男女とも最大酸素摂取量と有意な負の相関がみられた。よって、隠れ肥満の傾向が強いほど、有酸素的能力が劣ることがわかった。 3.タニタが開発したインピーダンス法による体脂肪率測定装置から得られた体脂肪率は、大学生男女や男性の高齢者では、ある程度体脂肪率を正確に反映し、また、内蔵脂肪の指標である腹膜前脂肪厚との相関もみられた。しかし、女性の高齢者では、体脂肪率と全く相関がみられず、問題を残した。
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