研究概要 |
年度当初、診療報酬明細書(以下、レセプト)の各診療行為別のデータを入力し、記載された傷病名の全てを多変量解析の手法によって分析することを試みたが、全傷病を99という多数に分類する場合、多変量解析の重要な前提である「線型性」に疑問がでてくることが明らかとなり、また多変量解析法は複雑で特殊なソフトを必要とすることから、市町村や保険組合などの担当者に普及させることは困難と考えられた。 そこで傷病に対してあらかじめ「重み」すなわちマグニチュードを設定し、レセプトの診療実日数や診療行為別点数をマグニチュードによって按分する方法を開発することとした(傷病マグニチュード按分法、Proportional Disease Magnitude, PDM法)。傷病のマグニチュードは「その傷病を主又は副傷病名として持つ患者のうちその傷病を主傷病として持つ者の割合」と「その傷病を主傷病として分類されたレセプトの一件当たり日数あるいは総点数」の積として表される、とモデル化した。 次にマグニチュードを算出した。対象として3年毎10月に実施される患者調査において主および副傷病名の関係が公表されている25の傷病について、毎年6月に実施される社会医療診療行為別調査報告のデータを掛け合わせることによって、入院、外来別に傷病マグニチュードの数値を一覧表にした。 レセプトの診療実日数や診療行為別点数のデータは、記載されている全傷病名のマグニチュードで按分することによって、客観的かつ迅速に傷病分類することが可能となり、レセプトの電算化が進めばレセプト疫学の有力なツールとなることが期待される。次年度以降は、PDM法を実務に活用することを目的に本格的なプログラム開発に着手する予定である(本研究の詳細は別添の「研究成果報告書」参照されたし)。
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