ABO式血液型に対する単クローン抗体産生細胞株とペルオキシダーゼに対する抗体産生細胞株とを融合させ、血液型抗原および酵素と反応するbispecificな抗体の作製を試みた。報告者は単クローン抗酵素抗体産生細胞株を保有していなかったため、まず単クローン抗ペルオキシダーゼ抗体を作製した。抗原は市販の不活性化されたペルオキシダーゼを用いBALB/Cマウスを免疫した。その結果数株のIgGおよびIgM抗体産生細胞を得たが、このうち酵素と結合した際にその酵素活性を比較的阻害しない株(P445、IgG1)をハイブリドーマ融合に用いた。一方抗A・抗B単クローン抗体産生細胞株(2A1、B1)をウワバイン含有培地で馴化培養し、10^<-3>Mウワバインに対する耐性株を選択し、さらに100μg/mlまでの6-アミノメルカプトプリン含有培地にて順次培養し、HAT感受性株の選択を試みた。この操作によりB1についてはウワバイン耐性・HAT感受性株B1UHを確立することができたが、2A1については、培養中に抗体産生能を失うものが多く、現在のところ融合に好適なハイブリドーマを得ていない。 P445とB1UHを融合して4量体とし、ウワバイン・HAT加IMDM選択培地で培養を行い、2株のbispecific抗体産生細胞株PB9およびPB10を得たが、いずれの産生する抗体も抗B活性に比して抗ペルオキシダーゼ活性がやや低いため、現在再クローニング中である。この抗体は抗IgG・抗IgMのいずれとも反応する。酵素活性を阻害するか否かなどの詳細な検討は完了していない。2A1については現在もウワバイン・6-アミノメルカプトプリン含有培地で培養中である。一方ハイブリドーマ同士の融合は、4量体形成率の向上について技術的に改良の余地があると考えられた。さらに、今回扱った4量体細胞の増殖速度はハイブリドーマの1/2ないし1/3程度であり、抗体産生細胞株の確立に時間を要するのが問題点として挙げられる。 Monoclonal antibody ABO blood group Hybrid hybridoma
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