研究概要 |
覚醒剤の心筋に対する毒性の発現にアポト-ジス(細胞枯死)が関与しているかどうかを調べるために成熟ラット心筋細胞を用いて以下の実験を行った。 1.培養心筋細胞の調整:WistarKYラットから麻酔下に心臓を摘出し、Langendorff 灌流を行い、Kreds-Henseleit 液で灌流し、Collagenase で灌流した。心室のみを細切し、メッシュで細胞を単離し、adhesion法で非心筋細胞を除き、単離心筋細胞を得た。 2.覚醒剤処理:Methamphetamine(MA)を培養液中に1×10^<-3>Mを加えたものと加えない対照群を35mm培養皿(細胞数 1×10^6)で4時間培養した。 3.DNAの抽出と解析:培養細胞は遠心して集め、RNase,Nonident P40 を加えたTris EDTA緩衝液と混合し、37℃でインキュベートした後、Proteinase Kで処理し、フェノールエイチジウムブロマイドで染色し、紫外線下にて観察した。 結果 形態的には対照群では明瞭な横紋構造を保った正常に近い形の心筋細胞がみられた。MA処理群は横紋の消失や空胞変性が著しく、細胞死も発生していた。しかしながらアポト-ジスに特異的といわれる形態的変化やDNAの断片化は認めることはできなかった。 現在各種の条件等を変更した場合を検討している。
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