〔実験方法〕 1.アンケートによる予備調査:生後1ケ月検診に来た母子に対し、アンケートで児の睡眠時体位および寝具(敷蒲団)の種類、SIDSに関する認識の程度(選択肢:よく知っている、聞いたことがあるがよく知らなかった、知らなかった、その他)等について予備調査を行った。 2.児の睡眠時の生理機能に関するモニタリング:アンケートを行った中からボランティアを募り、自宅で睡眠(昼寝)中の児の心電図、呼吸運動、動脈血酸素飽和度、深部体温を測定し、一部についてはその様子をビデオ撮影した。 〔結果〕 1.アンケートによる予備調査:約100人の母親からアンケートの回答が得られた。睡眠時体位については、ほとんどがいつも仰向けで、仰向けとうつぶせを併用しているのが数人、いつもうつぶせは極く僅かであった。寝具については、約半数がうつぶせ寝様の比較的堅いものを使用し、普通の和布団を使用しているケースおよび赤ちゃん用のフワフワしたものを使用しているケースが約1/4ずつあった。SIDSに関する認識度については、殆んど聞いたことがあるがよく知らなかったと答え、よく知っていたが数人、知らなかったと答えたのは1人であった。なお、この1人の母親は10歳代であった。 2.児の睡眠時の整理機能に関するモニタリング:母親の協力が得られた4人の乳児に対し、計11回のモニタリング(仰向け寝9回、うつぶせ寝2回)を行ったが、データに大きな異常を示したものはなかった。しかし、児によっては、呼吸運動につて頻呼吸と徐呼吸を繰り返すものが観察された。 〔考察〕 アンケート調査では、殆どの親がSIDSに関して何等かの知識を持っていることが示された。しかし、10歳代の母親が「知らない」と答えたことから、若年者に対するSIDSに関する教育の必要性が示唆された。モニタリングについては例数が少ないため、今後更に例数を増やして検討することが必要である。
|