研究概要 |
ルイス陰性(le)遺伝子の508番目のG→Aへのmutation(508A)を検出するためのプライマーをデザインし、これを利用して15例のルイス陽性ならびに12例のルイス陰性個体の白血球ゲノムDNAを鋳型としてPolymerase Chain Reastion-Restriction Fragment Length Polymorphism(PCR-RELP)法により508Aの頻度を調べたところルイス陽性個体では30allele中4alleleであったのに対し、ルイス陰性個体では24allele中12alleleとle遺伝子に特異的であることがわかった(Vox Sanguinus,67,327-328,1994)。又、508Aのle遺伝子に認められた59番目のT→Gへのmutation(59G)を調べるためのプライマーもデザインし、これを利用したPCR-RELP法を用いて59Gの発現頻度を調べたところ、このmutation遺伝子に特異的であることが示された(ルイス陽性個体30allele中4allele、ルイス陰性個体では24allele中18allele)(Submitted)。現在更に症例数を増やして、これらのmutationの遺伝子頻度を調査中である。又、lr遺伝子の内59G、508Aを共に持たないものが存在したので現在これらのle遺伝子についてそのprotein-coading regionをゲノムDNAよりPCR増幅し、ヌクレオチドのシークェンスを調べるとともに真核細胞発現ベクターにくみ込み真核細胞に発現させた後、ルイス抗原の発現、酵素活性等を解析中である。いままでルイス血液型はその判定の困難さと、ある特定の状態(例えば悪性腫瘍、妊娠等)によってその型が変化することから、親子鑑定等の個人識別には用いにくかったが、今回の遺伝子の多型を用いることによって、親子鑑定等に用いることも可能と考えられる。実際の親子鑑定の試料を用いてこの可能性についても、現在検討中である。
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