現在まで検討した対象は総計24例で、潰瘍性大腸炎患者(20才-30才)群(17症例)を、1群:発症5年未満(5例)、2群:発症5年以上10年未満(6例)、3群:発症10年以上(6例)、及び正常対照者群(7例)に分け検討している。 検体は各症例の羅患部直腸及び非罹患部遠位大腸より内視鏡下生検にて採取した粘膜よりフェノール-クロロホルム法にてDNAを精製し、調製した。 テロメア長の測定は、ゲノムDNAを制限酵素AluIにて消化後、アガロースゲルにて電気泳動し、キャピラリートランスファーにてナイロンメンブランに転写した。その後、5'末端ビオチンラベルした(TTAGGG)_4合成核酸を用いてハイブリダイゼーションを施行し、化学発光、オートラジオグラフィー後、デンシトメーターにて測定した。 結果として、2群、3群の罹患部直腸粘膜テロメア長は、明らかに2群、3群の非罹患部遠位大腸粘膜および正常対照者直腸粘膜のテロメア長はに比較し有意に短縮していた。1群の罹患部直腸粘膜テロメア長は、有意差はないものの正常対照者直腸粘膜のテロメア長に比較し短い傾向を示した。尚、粘膜内炎症性細胞浸潤が高度な場合、見かけ上テロメアの短縮を示す可能性があり、現在組織H-E染色標本にて粘膜内炎症性細胞数を計測中である。
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