肝の線維化に重要な役割を果たしている伊東細胞において、線維化に関与する細胞内情報伝達機構を明らかにすることを目的とし、今回は、伊東細胞の増殖および活性化やコラーゲン合成能に与えるproteinkinase C(PKC)の影響を調べ、肝線維化メカニズムにおけるPKCの関与を検討することとした。これらに関して、現在までに明らかとなった私たちの研究成果は、以下のごとくである。 ラット伊東細胞をpronase-collagenase潅流法とNycodenz比重遠心法にて分離し、分離後24時間よりPKCのactivatorであるphorbolmyristate acetate(PMA)を48時間添加培養した。Western blot解析法を用いて伊東細胞の活性化の指標であるα-smooth muscle actin(α-SMA)の表出を検出し、伊東細胞の活性化を検討したところ、10nM PMAでは、α-SMAの表出は16%抑制され、100nM PMAでは、52%抑制された。一方、分離後72時間よりPMAを48時間添加培養した場合、10nM PMAでは、明らかな抑制はみられず、100nM PMAでも20%の抑制しか認められなかった。 以上の結果より、伊東細胞の活性化にPKCが関与している可能性が示唆され、その関与は培養初期により大きいと考えられた。
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