研究概要 |
実験1.膵液中抗菌活性の検討 健常者および慢性膵炎患者に対し、セクレチン試験を施行し得られた膵液に、E.coli ATCC 25922を接種後、振盪培養を行い、経時的に生菌数を測定した。その結果、健常膵液では抗菌活性がみられたが、慢性膵炎患者膵液では抗菌活性は認められなかった。これらの結果より、慢性膵炎患者では、E.coliが逆行性に膵管内に進入した際に、それを防ぎにくく、進入した細菌が膵管内に常在化する可能性が示唆された。 実験2.抗菌活性物質の分離精製 健常膵液を、分子量10,000、1,000の限外濾過膜を用いて精製した。分子量10,000以上、1,000-10,000、1,000以下の各分画にE.coli ATCC 25922を接種後、振盪培養を行い、経時的に生菌数を測定した。その結果、分子量10,000以上および分子量1,000以下の分画の膵液では、E.coli発育の抑制は認められず、分子量1,000-10,000の分画の膵液に抗菌活性が認められた。 実験3.慢性膵炎患者膵液の抗菌活性の検討 慢性膵炎患者膵液を用いて、実験2.と同様の実験を行った。その結果、慢性膵炎患者膵液には、濃縮前には認められなかった抗菌活性が、精製により、健常膵液と同じく、分子量1,000-10,000の分画に抗菌活性が認められた。
|