GalN(500mg/kgi.p.)-LPS(20μg/kgi.v.)投与急性肝障害モデルSDrat(300g)にて、経時的(0、0.5、1、3、6時間)に以下のことを証明した。 (1)同一個体ratでの門脈、大動脈血中TNF活性比較:右表の様に刺激1時間では、大動脈血中に比較して門脈血中のTNF活性が高く有意差を認めた。これは肝外より門脈を経て多くのTNFが肝臓へ集まる事を示している。 (2)肝脾組織でのTNF-αmRNA発現比較:Northern blotは現在進行中で十分な結果はまだ出ていない。しかし、予備実験として行ったRT-PCRの結果では、刺激1時間では肝脾共に強いTNF-αmRNAの発現を示し以後漸減した。さらに肝での発現レベルの方が脾より低かった。(3)肝脾組織でのTNF-αmRNAin situ hybridization:肝では刺激1時間で類洞Kupffer細胞に極軽度発現が認められたのみだったが、脾では刺激0.5時間より辺縁帯部のマクロファージやリンパ鞘(T cell領域)のリンパ球に強い発現を認め3時間まで観察された。【まとめ】実験的急性肝障害早期には肝臓より脾臓のマクロファージやリンパ球より産生されるTNFが多く、脾静脈-門脈を介して肝臓へ影響を与えているものと考えられる。また、肝Kupffer細胞のTNF-αmRNA発現は意外に少なく、門脈血中の軽度のEndotoxinに常時曝露されているため刺激に対してTNF産生の抑制反応が起こっているものと考えられた。
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