研究概要 |
【目的】慢性エンドトキシン血症による肺障害における血小板減少の影響を検討した. 【方法】覚醒下に抗血小板抗体を投与し血小板数を減少させたSDラット,コントロールとして無処置血清を投与したSDラットを作成した.各群にエンドトキシン(ETX)0.1mg/kg/hあるいは生食を持続投与し,0,6,24,48時間における白血球数(/μl),血小板数,肺障害の指標である肺湿・乾燥重量比(W/D),好中球の肺集積の指標である肺組織ミエロペルオキシダーゼ活性(MPO)について検討した. 【結果】血小板数はETX投与開始直前(0時間)でC群,PD群で53.1±10.3x10^4/μl(SD)vs5.9±3.5(p<0.05)とPD群で有意に減少していた.6,24,48時間で14.0±4.2vs5.0±1.2(p<0.05),9.1±4.7vs6.9±3.2(ns),11.4±5.6vs5.2±1.6(p<0.05).W/Dは6,24,48時間で5.08±0.21vs5.02±0.15,5.07±0.14vs5.02±0.17,4.79±0.14vs4.77±0.21といずれも有意差を認めなかった.MPO活性は6時間でC群,PD群で1.38±0.40ΔOD/min/g vs1.18±0.38と有意差を認めなかったが,24時間では0.98±0.28vs1.55±0.29(p<0.05)とPD群で有意に増加していた. 【結果のまとめ】5x10^4/μl程度の血小板減少では慢性エンドトキシン血症による肺水腫の増悪は認められなかったが,肺への好中球の集積は増加させた. 【結論】血小板は慢性エンドトキシン血症による肺水分量増加への関与は少ないが,その存在は好中球の肺への集積を抑制している可能性が推測される.
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