1)トポイソメラーゼ|遺伝子点突然変異の検討:従来申請者らがPCR-SSCP法による培養細胞DNAトポイソメラーゼ|cDNAにおける点突然変異存在の有無の検討に用いてきたプライマーのみではRNA抽出のステップが必要で煩雑なため、まずgenomic DNAを用いてエクソン(1〜21)各々の点突然変異を検出できるような新たなプライマーの設計とその検討を行なった。ついで新規作成プライマー決定後、検体(気管支鏡採取あるいは剖検時採取)解析に移り、報告書作成時点で21症例(54検体、腫瘍部と正常肺組織あるいは末梢血白血球のペア)のトポイソメラーゼ|遺伝子エクソン12、15、20(培養細胞での点突然変異存在が報告されている部位)のPCR-SSCPを終了した。胸膜中皮腫の1例でエクソン12解析で腫瘍部、正常組織部共に異常バンドを検出し(Polymorphism)、塩基配列決定によりプライマーの設計上カバーせざるを得なかったイントロン11の1塩基置換(A-T)を確認したが、その他の20症例にDNAトポイソメラーゼ|遺伝子異常は認められなかった。今後も検体採取を継続し、対象症例50例にて最終解析を行なう予定である。 2)塩酸イリノテカンの臨床薬理学的検討:従来の測定法では塩酸イリノテカン(CPT-11)とその活性代謝産物SN38を別々に測定しなければならず多検体の処理には限界があり、将来の臨床検査レベルへの導入に障害となると考えられたため、まずHPLCを用いたCPT-11/SN38同時測定系の確立を行なった。ついで測定系の妥当性確認後、本格的血中濃度測定に移り、報告書作成時点までに11症例(63コース)の薬物濃度測定を終了している。CPT-11のCmax(ng/ml)およびAUC(ng h/ml)は50、60、80(mg/m2)投与で各々520±87/2738±276、645±97/2922±558、944±158/4180±582であった。SN38のCmax(ng/ml)およびAUC(ng h/ml)は50、60、80(mg/m2)投与で各々10.9±2.6/81.0±12.4、12.5±4.4/103.2±45.7、16.2±4.0/139.7±41.1であった。薬動力学的検討ならびにLimited Sampling Modelの樹立は症例数が15〜20例以上になるまで実施不可能なため、症例集積を継続中である。
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