研究課題/領域番号 |
06770423
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
檜山 桂子 広島大学, 医学部, 助手 (60253069)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1994年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 肺癌 / テロメア / テロメラーゼ / p53 / Rb / 不死化 / 生物学的悪性度 |
研究概要 |
染色体の末端テロメアに存在する反復配列の長さがその細胞の経てきた分裂回数に応じて短縮すること、不死化した細胞ではこの反復配列を延長する酵素テロメラーゼが存在することから我々はテロメアの短縮、テロメラーゼ活性の有無(テロメア長の延長・収束の有無)が肺癌においてもその生物学的悪性度に関与していると考え、60例の肺癌原発巣および12転移巣についてテロメア長の測定を行った。テロメア長変化例は進行例、転移巣、小細胞癌で高頻度に認められた。核DNA量を測定すると、腺癌以外では増殖期の細胞の割合が高い腫瘍ほどテロメア長が短縮している傾向があり、特に小細胞癌では増殖期の細胞の割合が高く、growth advantageを得た細胞が多段階に選択されてきた結果、経てきた細胞分裂回数が多いことが示唆された。早期の症例で増殖期の細胞の割合も低く他の遺伝子変化にも乏しい腺癌にテロメア長が有意に短縮あるいは延長している症例があり、これらの症例は他の臨床、病理学的な所見では区別されず、腺癌の多様性と関係しているのかもしれない。 さらに、テロメア長が変化している腫瘍では、有意に高頻度にp53やRb遺伝子のヘテロ接合性の消失が認められ、転移巣では殆どの症例がこれらの変化を伴っていた。経過した細胞分裂回数の多い転移巣ではテロメア長変化例が多いこと、in vitroにおいてM1を越えてテロメア長の短縮、不死化への進展をもたらすことが示されたp53やRbの不活化例にヒト肺癌でもテロメア変化例が多いことは、M1からM2に進行中の未だ不死化していない肺癌細胞がかなり存在するのではないかと推察された。 癌にも不死化している細胞と不死化していない細胞があるならば、unlimited growthかself-limited growthかは癌の性質を大きく左右するすることが予想され、テロメア長は癌細胞の新たな生物学的悪性度の指標となることが示唆された。
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