今年度、当院内科第二講座に入院されたIIP患者のうち、肺癌合併症例が約2例経験されたが、いずれも手術適応がなく、TBLB時にも微少な組織片のみしか採取できず、病理に提出するため、それらのDNAを提出することはできかった。しかし、コントロールとするため、患者本人の承諾のもと、2例の原発性肺癌の手術組織において腫瘍部分、及び周囲の非腫瘍部分を採取し、組織を液体窒素中にて粉砕し、フェノール、クロロホルム法を用いてDNAの抽出を行った。これらについては、制限酵素のEcoRIでdigestionを行い、0.8%のアガロースゲルにて電気泳動後、ナイロンメンブレンにtransferを行った。これらのメンブレンは、将来的にAP-PCRにて得られたフラグメントの解析に(ヘテロ接合性の消失やDNAの増幅の有無など。)使用していく予定である。PCRのプライマーは今回6種類作製し、それらを用いて、肺癌症例にて、正常組織と癌組織でAP-PCRをおこなった。しかしバンドはかなり多く認められ、とくに両者で有意な差を認めたバンドは指摘できず、特定のバンドのクローニングは行わなかった。今後、プライマーの検討、およびPCRの条件の検討が必要であると思われた。また今回得られた正常肺組織を用いて、mRNAの抽出を行い、それらを用いてcDNAlibraryを作製した。このlibraryは、AP-PCRにて得られたフラグメントでスクリーニングを行い、遺伝子のクローニングに使用していく予定である。
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