研究概要 |
我々はシュワン細胞basal laminaの非酵素的糖化が神経再生に及ぼす影響をin vivoで調べるためacelluar allograftを用いて検討する予定であるが、本年度は末梢神経移植手技とgraft内再生線維の定量化の方法を確立するための基礎実験を行った。 実験動物の作製と神経移植方法は研究計画に記した如く行い、DM群と対照(C)群の坐骨神経を、各々12週後に同週齢の正常ラットに、predenervation後predenervation後acellular allograftを作製して移植した。7,24日後に移植神経を取り出し、型通りに固定、包埋後、移植部から3mm遠位のlμmの切片を作製し光顕的観察を行った。 7日後の標本では、貪食前の髄鞘と髄鞘を貪食したマクロファージが混在し、未だ明かな再生線維やシュワン細胞の進入は認められなかった。また、拒絶反応を思わせる細胞侵潤、組織浮腫はなかった。24日後の標本では髄鞘のdebrisは消失し、小数のマクロファージを認めた。シュワン細胞を伴った、薄い髄鞘を有する再生線維の集族が多数出現し、拡張した血管も多数認められた。再生線維は神経周膜外にも多数認められた。上記の所見にDM、C群間に差はなかった。 以上の所見から、神経移植の手技に問題はないと考えられるが、再生線維が神経周膜外にも多数認め、その密度が部位により異なることから定量化が困難であると考えられた。今後さらに定量性を有する評価が必要であり、collagen filamentを充填したcollagen tubeを用いた検討を予定している。
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