研究概要 |
[目的]近年、アポリポ蛋白E(以下アポE)はアルツハイマー病との関連が示唆されている。今回、我々はアポEフェノタイプ及び培養皮膚線維芽細胞におけるアポEmRNAの発現を検討した。 [対象と方法]アポEフェノタイプの検討対象はアルツハイマー型老年痴呆(SDAT)群17例、アルツハイマー病(AD)群7例、脳血管性痴呆(VD)群9例、対照(CTL)群51例を用いた。アポEフェノタイプは、フェノタイピングアポE(常光)を用いて、前処理した血清を等電点電気泳動後イムノブロットし、得られたアイソフォームパターンをマルチバンディングパターンから決定した。 培養皮膚線維芽細胞アポEmRNA発現の検討対象は、アルツハイマー型痴呆(DAT)群7例、VD群6例、CTL群7例を用いた。皮膚線維芽細胞よりtotal RNAを抽出し、アポE cDNA probeを用いてNorthern blot analysisを行った。内部標準として、β actinを用いて半定量を行った。 [結果]アポE4を有する頻度はSDAT群では64.7%とCTL群の9.8%と比較して有意な高値を示した。(p<0.001)。AD群では14%、VD群では22.2%と有意な変化を認めなかった。 培養皮膚線維芽細胞におけるアポE mRNAの発現は、DAT群及びVD群ではCTL群と比較して有意な低下を示した(p<0.001,p<0.05)。また、DAT群とVD群では有意な変化を認めなかった。 [まとめ]アポE4を有する頻度はSDAT群で有意に高値を示すことが分かった。 また、培養皮膚線維芽細胞におけるアポE mRNAの発現は、DAT群及びVD群で有意に低下していた。
|