神経細胞の変性過程において、代謝の変化が、細胞死と関係があるのか再生と関係があるのか明らかに区別することは困難であった。しかしながら、再生の指標と代謝の変化との相関を調べることにより、1つの方向性が明らかになると考えた。昨年度、再生の指標として用いたtransferrin receptorの出現部位に一致してcytochrome oxydase(CO)活性が上昇していることを免疫および酵素組織化学的手法を用いて発見した。今年度、様々な変性疾患脳において、ミトコンドリア酵素にCO以外にsuccinil dehydrxygenase等も用い、再生のみならず、変性の指標としてubiquitinなども用いて、再生、変性部位と、ミトコンドリア酵素活性相関の組織内局在を明らかにした。その過程の中で、ミトコンドリア異常症の筋組織中にミトコンドリ輸送蛋白であるheat shock protein(hsp)70が発現していることを発見した。さらに、変性疾患中枢神経において変性細胞内にhsp70が発現していること、変性した組織の周囲のastroglia内にもhsp70が発現していることを発見し、報告した。
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