研究概要 |
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を培養し,これをサイクロスポリン(CSA)で刺激して、2,4,6,8,12時間後に細胞を採取した。内皮細胞よりAPCG法によりtotal RNAを抽出し、Human ET-1cDNAをprobeとしてnorthern hybridizationを行い、得られたET-1 mRNAのバンドを比較してET-1遺伝子発現の変化を検討した。しかし、これらの間にははっきりとした差はみとめられなかった。 次に牛頚動脈内皮細胞(BAEC)を用いて同様の実験を行ったが結果は同様であった。 以上のとおりサイクロスポリン(CSA)では期待されたような結果が得られなかったため、同様の免疫抑制剤であるFK-506を用いてBAECに対して同様の実験を行った。(FK-506はT細胞における作用機序がCSAと同様にカルシニューリンの酵素活性を阻害するものであることがしられている) この結果、6時間後をpeakにET-1遺伝子発現がこう進していることがわかった。 現時点で得られている結果は以上のとおりであるが、今後は以下の実験を追加していく予定である。 1.サイクロスポリン(CSA)の濃度や溶解液を変えて同様の実験をくりかえし行う。 2.CSAないしFK-506を用いて、これらがET-1遺伝子のpromoter活性にどのように関わっているかを検討する。 すなわち、種々の長さのET-1promoterを結合したCAT plasmidをlipofectamineとincubateし、これをHUVECないしBAECに導入する。その後細胞をCSAないしFK-506で刺激してET-1promoter活性をCAT assayにて測定し、どのpromoter部位がresponsiveであるのかを同定する。
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