慢性肉芽腫症(CGD)の全国規模の病型調査の過程で、幾つかの非定型例CGD(遺伝的にCGDと診断されているにもかかわらず白血球が微量の活性酸素を産生しうるタイプ)を見いだした。一つは、長崎における60歳という高齢のCGDであるが、インターフェロンガンマの投与によって活性酸素産生レベルが変動した。活性酸素産生系構成タンパク質の発現量も変化することがイムノブロッティングで確かめられた。もう一つの症例は、新潟の常染色体性のCGDであるが、こちらもごく微量の活性酸素産生が検出された。イムノブロッティングの結果、細胞質必須因子である47Kタンパク質の欠損であることが判明した。これらの非定型例CGD患者の末梢血を用いて、化学発光法による微量の活性酸素産生の定量法を検討した。血液中の好中球を測定用のプラスチック容器の内側に付着させることによって、好感度で活性酸素を検出・定量することに成功した。非定型例および典型例CGD患者の末梢血から、EBウイルス感染によって不死化B細胞を樹立し、同様な方法で微量活性酸素産生の評価を行った。しかし、末梢血由来の好中球と異なり、株化B細胞では、非定型例における微量活性酸素は認められなかった。また、これらの培養細胞では、インターフェロンガンマ処理によっても活性酸素産生能に変化はなかった。さらに、活性酸素産生系タンパク質の量もインターフェロンに不応答であった。したがって、株化B細胞は、末梢血由来細胞の基礎的実験には利用できないことが判明した。
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