研究概要 |
今年度は、1)早期産低出生体重児を含めた新生児における前大脳動脈(ACA)並びに中大脳動脈(MCA)のPulsatility Index(PI)の正常値の作成と、2)早期産低出生体重児と正期産児における乳児期の脳梁の形態的発達の差異を明らかにすることを研究の主眼とした。 1)対象は、low-risk児とし、出生体重より、グループI;1000〜1500g未満7例、グループII;1500〜2000g未満9例、グループIII;2000g以上23例。結果(ACA/MCA;mean)は、生後1日目;I=0.65/0.66,II=0.69/0.73,III=0.63/0.68、生後2日目;I=0.70/0.68,II=0.71/0.76,III=0.64/0.73、生後3日目;I=0.70/0.72,II=0.70/0.74,III=0.68/0.71、生後4日目;I=0.73/0.72,II=0.73/0.70,III=0.70/0.72、生後5日目;I=0.72/0.78,II=0.72/0.77,III=0.68/0.69、生後6日目;I=0.77/0.76,II=0.72/0.74,III=0.76/0.63、生後7日目;I=0.76/0.80,II=0.65/0.73,III=0.67/0.74、生後14日目;I=0.77/0.80,II=0.76/0.75,III=0.76/0.78であった。 2)神経学的に正常に発達したPretermとTerm Infants群を対象とした。乳児期(生後0〜13ヶ月、Preterm群では修正月齢)のMRIより正中矢状断像をパーソナルコンピューターに取り込みNIH image(ソフト)を用い、脳梁の幅(Pediatric Neurology 1994;10;141-144で既報)、長さ、面積を計測した。その結果、Preterm群長さYmm=1.45X(month age)+44.81、R=0.67、P<0.001)面積Ymm^2=16.51X+129.21、R=0.79、P<0.001、Term群長さYmm=1.00X+45.39、R=0.70、P<0.001面積Ymm^2=17.03X+135.95、R=0.74、P<0.001で両群間に共分散分析で有意差を認めなかった。又、精神運動発達遅延児では脳梁が有意に薄いことが明らかであり(Pediatric Neurology 1994;11:219-223で報告)、今後、脳血流速度に異常を呈した児における脳梁の形態について検討していく予定である。
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