研究概要 |
1.T2欠損症の解析 (1)酵素診断,蛋白解析:T2欠損症の疑いで日本を含む世界各地より送られてきた細胞の活性測定,蛋白解析を行い、第2例目、3例目の日本人患者、およびカナダ、ドイツの各1例を診断した。 (2)遺伝子変異の同定:合計21症例の本症の遺伝子解析を行っている。これまでに13例の解析により17の異なった遺伝子変異を同定し、SSCP法,MDEゲル泳動法,制限酵素切断法等にて簡便な検出法を確立した。本年度得られたこれらの結果は、J.Clin.Invest.1編Human Mutation2編に公表した。またMutation Updateという依頼原稿にこれまで得られた本症の知見をまとめて公表することになっている。 (3)アメリカの本症家系について、蛋白遺伝子両面から出生前診断を行った。この結果はprenatal diagnosisに公表した。胎児はcarrierで臨床に情報を還元できた。 2.CT欠損症の解析 (1)患者スクリーニング:本年度は残念ながらCT蛋白を欠損する患者を見出すことはできなかった。 (2)cDNAスクリーニング:ヒトCT抗体用いて,ヒトCTcDNAをクローニングすることに成功し、その全塩基配列を決定することができた。この結果はBBRCに公表した。 (3)CTのmRNA発現,蛋白の分布:ノーザンブロット解析によりCTmRNAが各種臓器、組織で発現しており中でも脳、肝臓で強く発現していることがわかった。イムノブロットにより肝、脳の他に副腎においても発現が著しく、CTがコレステロール合成系に強く関わっていることが明らかになった。
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