新生仔ラットの一側大脳皮質に障害を与え、順行性horseradish peroxidase(HRP)法を用いて錐体路の組織学的変化を検討した。新生仔ラットの一側大脳皮質に障害を与えると新たな非交叉性錐体路が形成される。この形成機序に関しては、新生児期に過剰に存在していた神経回路が淘汰されることなく、そのまま利用される形で形成されると考えられていた。新生仔ラット一側大脳皮質障害後、1週間の時点でHRPを非障害側に注入し、順行性に錐体路を染め出した。この結果、錐体交叉性錐体路の軸索に側枝形成が観察された。また、わずかではあるが、錐体交叉途上で方向転換している軸索も観察された。一側大脳障害後に形成される非交叉性錐体路は、健側大脳皮質からの軸索が、錐体交叉部で側枝を形成して、また一部は錐体交叉途上で方向転換させて形成されることが明らかになった。
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