採取した骨髄、または臍帯血(幹細胞の評価が可能なヒト正常骨髄は得にくいため、幹細胞のソースとして用いた。)の赤血球を除かずに、そのまま種々のメロサイアニンの濃度と白色光への暴露時間の条件下で、MTTアッセイおよび、メチルセルロースによるCFU-GMのコロニーアッセイにて正常幹細胞の生存率を測定した。同時に同じ方法にて、HL-60(APL由来)やGOTO(神経芽細胞腫由来)などの癌細胞株や、当科で経験した白血病患者の発症時の細胞を用いて殺腫瘍率を測定し、メロサイアニンのex vivo purgingの効果について評価した。その結果、従来申請者らが採取骨髄をフィコールを用いた遠心分離法にて単核球層に分離した後に、purgingをおこなっていた条件(メロサイアニンの濃度は15μg/ml、白色光への暴露時間は1時間)より、長時間(2時間、ただしメロサイアニンの濃度は同じ)白色光へ暴露することにより、赤血球を除かずとも、単核球に分離後の purging 効果とほぼ同等の効果(正常幹細胞の生存率は30〜50%、癌細胞は10^3〜10^5分の1に減少)が得られた。またこれにより、赤血球を除去する際に生じた細胞のロス(60〜70%程度)を回避することができた。これによって、現在までに当科で自家骨髄を採取した7人の患者(APL2名、ALL1名、AML1名、神経芽細胞腫2名、非ホジキンリンパ腫1名)すべてにおいて、その採取時期が全例、数カ月〜2年にわたる化学療法の後であったにも拘らず、1回の採取で自家骨髄移植に必要なCFU-GM数(患者体重1kgあたり10^4個)は確保できており、既に自家骨髄移植を施工したAPLの2例(1例は完全寛解を持続し、1例は原疾患の再発により死亡)に続いて、近く神経芽細胞腫瘍と骨髄再発をきたして現在第2寛解期のALLにおいて自家骨髄移植を施工する予定である。
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