1.ヒトMHCクラスI分子発現β細胞の作成 IDDM患者の末梢血より単核球分画を分離し、ポリエチレングリコールを用いて、ラットインスリノーマ細胞とハイブリーマ細胞を作成する。ハイブリドーマ細胞の選択は、抗ヒトMHC抗体と抗インスリン抗体をもちいてdouble positiveの細胞を選択した。明らかに患者リンパ球とインスリノーマ細胞のハイブリドーマは作成できたが2カ月の継代培養をヒトMHCとインスリンのdouble positiveの細胞は脱落した。継代培養で安定したハイブリドーマが得られるにはさらに繰り返して試みる必要が有る。 2.CD8陽性Tリンパ球による細胞傷害性試験 上記の細胞を^<51>Crでラベルし標的細胞とし、同じ患者末梢血よりイムノカラム法を用い分離したCD8陽性Tリンパ球をeffector cellとする細胞傷害性試験を行なう予定である。約15mlの末梢血を採取し、比重分離法で単核球は約1.5X10^7個を得るこれを抗CD8抗体でコーティングされたカラムをもちいて得られたCD8陽性細胞は1X10^6以下に減少した。細胞障害性試験を行なうためには、1ウェル最低1X10^6のCD8陽性細胞が必要であり、標的細胞/細胞障害性細胞の比率を変化させるためには、1X10^7以上のCD8陽性細胞が必要である。患者よりの採血量を増加する方法も有るが、得られたCD8陽性細胞をその抗原特異性を変化させずに増加させることが知られている抗CD3抗体を用いることとした。そして現在、抗CD3抗体を産生するハイビリド-マOKT3を購入しその培養上清をもちいてリンパ球の増殖を試みている。分離できたCD8陽性Tリンパ球をこの方法により増殖できれば次の段階として目的とする細胞傷害性試験が可能となる。 以上、研究は途中であるが今度研究を継続して行く予定である。
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