研究概要 |
今回の検討ではBsmIビタミンDレセプター遺伝子多型の頻度はBB2%、Bb26%,bb72%であり(n=302)、白人(n=518)のBB17%、Bb50%,bb33%に比べ、B遺伝子を持つものの頻度が日本人では少ないことが明らかとなった。閉経前健常成人女性151人を対象に行った結果ではBb型とbb型で腰椎骨密度で6.3%(0.55SD)Bb型の方が低く、骨代謝マーカーにおいてもBb型がbb型に比べ血清オステオカルシン、骨型アルカリファスファターゼの高値を認めており、ビタミンDレセプター遺伝子多型が日本人の骨代謝に影響を及ぼしていると考えられた(BB型は統計処理上十分な対象が得られなかったため、Bb,bbで比較)。またBsmI RFLPにApal、TaqIの結果を用いてハプロタイプを利用した遺伝型解析を行った。最も多かった対立遺伝子はbaTでありこれをハプロタイプ1とした。またBAtをハプロタイプ2、bATをハプロタイプ3とするとこの3つのハプロタイプの組み合わせにより6種の遺伝型で話せる。我々の結果では、(2、2)、(3、3)は頻度が少なく、(1、1)、(1、2)、(1、3)、(2、3)の4つの遺伝型で95%を占めてれたいた。この4つの遺伝型と閉経前健常成人女性の骨密度の相関を示す。この解析を用いることによって(2、3)、(1、1)の腰椎骨密度に0.94SDの差が表現された。これらの傾向は閉経後日本人女性においても認められている。従来活性型ビタミンDの骨粗鬆症に対する治療の有効性については世界中で論議のあるところであったが、今回のビタミンDレセプター遺伝子多型頻度の人種差がこれらの議論の解決の糸口になるかもしれない。また遺伝型に応じた活性型ビタミンD投与量を設定することで治療あるいは予防効果の向上をもたらす可能性も考えた。
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