臨床症状の3微が乳幼児から出現した典型的Sjogren-Larsson症候群(SLS)2例と3微の出現時期が幼児期以降の非典型的SLS2例について検討した。検体は培養皮膚繊維芽細胞を用いた。 1)^<14>C-octadecanolを培養皮膚繊維芽細胞に加え20分、40分後の^<14>C-octadecanoicacidの合成能はSLSではコントロールの30-50%非典型的SLSはコントロールと同量であった。 2)^<14>C-octadecanolを培養皮膚繊維芽細胞に加え20分後に細胞内に残存する ^<14>C-octadecanolの量に対する40分後の割合を求めた。典型的SLSは100%で減少せず、非典型的SLSとコントロールは50-55%に減少していた。 3)Fattyalcohol:NAD+oxidoreductase(FAO)活性、^<14>C-octadecanoを基質とした場合、典型的SLSはコントロールの1%以下に低下しているが、非典型的SLSはコントロールと同じである。13H-hexadecanolを基質とした場合、典型的SLSはコントロールの5-10%で非典型的SLSはコントロールと同じであった。 以上より典型的SLSではFAOの低下とそれによるfatty alcoholの酸化障害が認められ、非典型的SLSは正常であった。これによりさまざまな臨床症状を呈するSLSにおいてFAOの測定は診断に有用である。また^<14>C-octadecanolの負荷試験でも鑑別には十分である。今後は遺伝子座の決定を検討したい。
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