Transforming Growth Factor β1(TGFβ1)はマウス培養マスト細胞のIL-3とIL-4依存性の増殖を抑制し、その効果は1.0ng/mlで50%、10ng/mlで100%であり、Flow cytometryによる解析で増殖抑制効果が細胞周期のG1期とG2期におけるブロックに起因するものと考えられた。またTGFβ1はcalcum ionophore A23187刺激でのヒスタミン遊離には影響を及ぼさず、マスト細胞の機能には影響を与えない、増殖についてのnegative regulatorであると考えた。次ぎに、免疫抑制剤であるサイクロスポリンA(CsA)とFK506について検討した。先ずマスト細胞増殖への影響だが、両者とも濃度依存性にIL-3とIL-4依存性増殖を抑制し、Flow cytometryによる解析でG1/S boundary blockによると考えられた。また両者ともcalcium ionophore A23187刺激でのヒスタミン遊離を同程度に抑制したが、anti-IgEあるいはsubstance P刺激によるヒスタミン遊離についてはCsAでより強い抑制効果が認められた。またCsA添加で細胞内ヒスタミン含有量の減少と、染色性の検討から結合織型の表現形から粘膜型の表現形への転換が観察され、マウスマスト細胞の増殖・機能・表現形への幅広い効果を認めた。
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